世界遺産

【祝】バガン遺跡群がユネスコ世界文化遺産に登録決定【詳細と今後の課題ついて解説】

こんにちは、ミャンマー好き海外ノマドのぐちを(@guchiwo583)です。

アゼルバイジャンの首都バクーで行われているユネスコの第43回世界遺産委員会で、ミャンマーの「バガン遺跡群」が世界文化遺産に登録されることになりました。

ぐちを
ぐちを
ちょうど同じ委員会で大阪の「百舌鳥・古市古墳群」も世界遺産に認定されましたね!

バガン遺跡群はミャンマーが軍事政権であった1995年に1度世界遺産への登録申請が行われていて、その時は翌年の委員会で登録棄却がされています。

2011年以降にミャンマーを率いている民主政権も登録に向けて再度動いていたため、そのため実に24年越しの長年の目標が実現することになりますね。

しかし、今回の登録はあくまで条件付きとなっていて、現地ではまだまだ多くの課題があり、それを解決していかなければならない状況です。

今回は少しアカデミックで僕の主観も多い内容となっていますが、バガンに過去3度訪れたことがあるこれまでの僕の知見から深堀りをしていきますね。

世界三大仏教遺跡でミャンマー屈指の巡礼地でもあり、かつ観光地としてもこれから発達していくであろうバガンの現状が理解できる記事となっています。

バガン遺跡群の世界文化遺産登録についての詳細

Frontier Myanmarという現地紙が今回の登録の詳細と背景についてかなり詳しくまとめているので、まずはそちらをご紹介します。

英文記事ですが、僕のテキトーな日本語訳も付け加えますので、少し長いですがぜひ読んでみてください。

Myanmar’s ancient city of Bagan has been approved for inclusion on UNESCO’s World Heritage List, more than two decades after it was first nominated.

ミャンマーの歴史都市「バガン」が、最初の申請から20年の歳月を経て、ユネスコ世界遺産の登録リストとして認められました。

The 21-member World Heritage Committee announced the decision on July 6 at a meeting in Baku, Azerbaijan, based on the recommendation of the International Council on Monuments and Sites (ICOMOS).

アゼルバイジャン、バクーで開催中の世界遺産委員会において、21人の委員会メンバーがICOMOSの推薦を経て7月6日の朝に登録決定の宣言を行いました。

Bagan becomes Myanmar’s second addition to the World Heritage List, after the three ancient Pyu cities of Sri Ksetra, Hanlin and Beikthano, which were listed in 2014.

バガンは、2014年に登録されたピュー古代遺跡群(シュリークシェートラー、ハリン、ベイッタノー)に次ぐミャンマーで2番目の世界遺産登録リストとなります。

Myanmar first nominated Bagan for inclusion on the World Heritage List in 1995 but its efforts have been plagued by challenges and controversies, including over renovations that critics say have compromised the architectural integrity of the site, and inappropriate commercial development.

ミャンマーは1995年に1度バガンを世界遺産の登録申請を行っていますが、地域の遺構の完全な保全において妥協がある、また不適切な商業開発があるという専門家の指摘・論争に悩まされてきました。

In Myanmar’s final dossier, submitted in January, it pledged to implement a management plan for the Bagan heritage zone that covers local businesses, social issues, agriculture, transportation and tourism, among other things.

今年1月に提出された最終報告では、ミャンマー政府はとりわけ地元企業・社会問題・農業・交通・観光などを網羅するバガン遺跡群の管理計画を実施することを約束しました。

Mr Kai Weise, a UNESCO expert, told Frontier in June that if the government wants the ancient city to stay on the list, it will need to meet strict conservation targets, including the implementation of a comprehensive management plan, and remove hotels from archaeological sites.

ユネスコ専門家のKai Weise氏はフロンティア紙に対し今年6月、ミャンマー政府がバガンの歴史都市を世界遺産リストに載せたいのであれば、包括的な管理計画の実施を含む厳格な保全目標を達成し、かつ歴史地区からホテルを排除する必要があると語っています。

Bagan rose to prominence in the 10th century and until its fall in 1287 was the capital of an empire that stretched from near the modern border with China to Tanintharyi Region in the south.

バガンは10世紀に歴史に名をあげ、1287年に衰退した現ミャンマーの中国国境付近から南はタニンダーリ地方域までを支配した王朝(パガン朝)の首都でした。

A 2017 survey by the Association of Myanmar Architects showed that there were 3,822 monuments in Bagan, including temples, stupas and monasteries.

2017年のミャンマー考古学局による調査では、バガンには寺院・仏塔・僧院を含む3,822の遺構が存在することが明らかになっています。

Many of Bagan’s ancient pagodas and temples were damaged in an earthquake in 2016, raising concern about the future of the site. At the time, the Department of Archaeology and National Museum announced that 300 monuments needed renovation.

2016年に発生した地震によりバガンの歴史的な仏塔や寺院の多くが被害を受けたことによって、地域の将来に対する懸念が高まりました。当時、考古楽曲と国立博物館は約300の遺構の修復が必要だと表明しました。

Ko Thura Aung, secretary of the Myanmar Archaeology Association, said that the the Myanmar government face many challenges maintaining the site and would need to explain the value of Bagan’s heritage to businesspeople.

ミャンマー考古学局長のKo Thura Aung氏は、ミャンマー政府は遺構の維持において多くの課題に直面しており、バガンの遺産としての価値をビジネス関係者に説明する必要があると述べています。

“The businessmen need to understand,” he said. “It can only be explained by the government. Others can’t do it.”

「ビジネス関係者は理解する必要があります」と彼は言いました。「それは政府以外の誰にも説明することができません」

(引用元:Bagan added to UNESCO World Heritage List – Frontier Myanmar

 

最後だけ少し分かりにくいのですが、ビジネス関係者とはおそらく現地のホテル事業家等と思われます。

世界遺産に登録された遺跡保全のために、彼らビジネス関係者に対してしっかりと政府は説明責任を果たすべきという主張です。

 

バガンは世界遺産登録された最後の世界三大仏教遺跡

世界三大仏教遺跡(アンコール・ワット、ボロブドゥール、バガン)の中で唯一世界遺産に登録されていなかったバガンが今回認められたことで、全ての世界三大仏教遺跡が世界遺産の登録物件となりました。

僕のミャンマーの知人曰く、ミャンマー政府によるバガンの観光開発においては、カンボジアのアンコール・ワットを特に参考にしているそうです。

今回長年の悲願であった世界遺産となったことで、今後の観光客の増加にさらに繋げようと政府も本腰を入れるはずです。

 

世界文化遺産に登録されたバガン遺跡群の今後の課題とは?

悲願の世界遺産認定を果たしたバガンですが、今後の課題は山積みです。

何よりも、ユネスコが掲示した条件付き認可のその条件を、最初の課題として解決に取り組む必要があります。

今回その条件として掲げられたと思われるものは以下です。

  • オールド・バガン域内の高級ホテルの移転
  • ユネスコが認める国際的手法による遺跡保全の取り組み
  • 現地住民の文化・生活の保護

課題①:オールド・バガン域内の高級ホテルの移転

世界遺産登録の是非について長年の争点だったのが、オールド・バガン域内の高級ホテルについてです。

オールド・バガンはバガンの遺跡がとりわけ多く存在するエリアの総称で、今回の世界遺産登録地域はこのオールド・バガンが中心となります。

ユネスコの世界文化遺産を扱っているイコモスは、世界遺産の登録域内に宿泊施設が存在することを基本的に認めていません。

今回の世界遺産登録は、高級ホテルの移転を実現させるために政府に具体的な施策を促すよう、あえて条件付き認可とした可能性が高いです。

これについては、反発している現地のホテル業界とどう対話していくのかが課題です。

▼過去ツイートも参考

ちなみに、軍事政権時代に建設されたバガン・ビューイングタワーゴルフ場も過去に景観保全の観点からミャンマー政府とユネスコ・イコモスとの間で議論になっています。

こちらについては、世界遺産登録されたオールド・バガンの域内から外れたことで一旦保留になったと思われます。

課題②:ユネスコが認める国際的手法による遺跡保全の取り組み

遺跡の保全についても今後の課題の1つです。

あくまでも1,000年前の建築当時の姿での保全を求めるユネスコと、時代に合わせて修復方法を変えてきた歴史のある現地との摩擦はこれまでも大きく存在しました。

今回世界遺産に登録されたことで、ユネスコが求める国際的な枠組み下での保全がさらに加速していくと思います。

これがバガンの今後にとって吉となることを願います。

課題③:現地住民の文化・生活の保護

バガンが世界遺産に登録された他の世界三大仏教遺跡と大きく違うのは、「生きた仏教遺跡」であることです。

すなわち、歴史的価値を有する遺産でありながら、同時に現在に至るまで信仰心が深く根付いています。

観光以前に現地住民の生活が最優先であり、今後の観光地化によって彼らの文化・信仰に悪影響を与えるようなことがあるべきではありません。

そうならないための、具体的な施策を実行していく必要があると言えるでしょう。

とは言っても、バガンは観光にかなり依存している地域でもあるため、その辺りは現地住民が今後どのように考えていくか次第の部分が大きいです。

 

バガン遺跡群の現地調査についてまとめた僕の有料note

少し話が脱線しますが、僕は過去に大学の卒業論文でバガンをテーマとして選び、主に「観光開発が現地住民に与えている影響」について2017年8月に実際に現地で聞き取り調査を行いました。

その時の調査内容についてまとめた有料noteを過去に書いていますので、合わせて共有しておきますね。

長文ですが、note内では当時の世界遺産登録の動向についても触れています。

期間限定(7月末までの予定)で半額(250円)にしておきますので、もし興味があればご購読よろしくお願いいたします。

note:【ミャンマー】バガンの観光開発が現地住人に与えた影響【現地調査】

 

まとめ:世界遺産に登録されたバガン遺跡群へ行こう

以上、バガン遺跡群の世界遺産登録について直近の報告でした。

晴れて世界遺産になったことで、今後さらにミャンマーのバガンを訪れる観光客が増えると予想されます。

ぐちを
ぐちを
バガンを訪れるなら、まだまだ観光客の少ない今がおすすめですね。

現地の観光情報は以下の記事で共有していますので、ぜひご参考にしていただければと思います(^^)

▼バガンの観光情報まとめはこちら

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